いつものように遠野への道を走る。
 さび付いてきた森の色に幾分ライダーとしてのあせりみたいなものを感じながら。

 とにかく、イチョウの葉が黄色く地面に落ちているのが印象的なツーリングだった。

 そして、最初から距離走るというものではなく、立ち止まりながら、それほど優れていないだろう自分の感性で引っかかるものに引っかかってみるツーリング。そのほか、会社でのこと、これからのことなど答えが出ることもないことをヘルメットの密室で考えた。時々歌も出たが・・・。

 浦田穂一さんの作品とであったのはいつだったろうかと、日記を見てみると2002年の岩手県立美術館での遠野展だった。浦田さんの訃報は2004年5月、同じくして遠野の観光功績のあった、阿部与市さんが同年2月。遠野にとって大きな功績ある二人がなくなった年だった。

 そういうことを思いながら遠野の民俗、そして浦田さんの写真をみると、別のものまでが見えるような気さえした。遠野の在りし日の姿などは平成になってから岩手に来た人間に簡単に見出せるものではなく、また、観光スポットに行って見られるのは嘘ではないが現存しているかどうかは怪しい姿。それよりは浦田さんの作品が黙って示してくれているものの方が説得力があるように思える。


 その後、紅葉の終わりきらない国道283号を釜石線とほぼ並行に花巻方面に進み、東和町土沢駅前の「ほうほう」に立ち寄る。土沢ではここしか店を知らないのだ。とはいえ、そこの店の人が僕のことを知っているわけでもない。ただ、マスターは有名な人らしい。平野諒さんの絵をみながらのランチ。店の中が混んでいたので落ち着かずすぐに出る。
 そして、アート@つちさわを見物する。佐々長の直販所をスタートにとおりを東に歩く。いろいろなジャンルの「アート」がそれこそ芸術品といえなくもない絶妙な店や倉庫などに展示されている。僕などは前衛的だったりするものにはまったく理解が及ばないのでどちらかというと、琺瑯看板とかちょっとした煙突とかに興味がいった。

 ぐるっとして、バイクに戻ろうとしたときにホッカイダークマさんに近接遭遇。一緒にお供させてもらい、もう一周町ん中ギャラリーを見て回った。マブチモーターRE-140位ので回って音がするものが面白かったね。あとは黒白の猫。
 記憶では案外、たこ焼きと雨に降られたというのが一番だったりするかもしれない。あ、あとあの不気味な人間みたいなぬいぐるみ。割烹「千鳥」だったかな。(笑)

 クマさんとは町のシンボルにもなりそうなイチョウの木の下でバイクの写真を撮った後にわかれた。

 僕は県道43号をゆるりと走り、国道に合流してからはもっとたらりと走った。いろいろ考え事をしながら帰り着いた。

 夕刻、日戸あたりから東の空には満月があった。
 まあ、そういわず、堪えて見ろよと月曜日からの僕の憂鬱にアドバイスくれているような気がした。

 座ライダーに、見物ツーリング。人それぞれ。その時々にやりたいことができればそれでいいじゃないかい?そんなことも考えてたな。

 そうそう、あさの10時には宮守のサンQハウスで馬刺定食を食べました。ここのはおいしいよ。ジンギスカンと迷ったけど、こっちで正解だった。